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チューニングの科学


 ギターのレギュラーチューニングでは、6弦から1弦に向かって各弦間の音程が、
  完全4度、完全4度、完全4度、長3度、完全4度
と並んでいます。
 純正律だと、
 完全4度は、周波数比 4/3
 長3度は、周波数比 5/4
です。
 6弦のチューニングができたとして、この和音の並びで、準にチューニングした場合の1弦の周波数比を計算してみます。

4/3 * 4/3 * 4/3 * 5/4 * 4/3
= (4*4*4*4*5)/(3*3*3*3*4)
= (4**4 * 5) / (3**4 * 4)
- 1280 / 324
= 3.95061728395
 2オクターブ上なので、4.0になるはずですが、わずかに低い結果が出ました。
 
 このことから、きれいな和音を重ねてギターをチューニングしても絶対に合わないことがわかります。

 どうすればいいかというと、平均律で合わせるしか無いのです。
 平均律の周波数比は
  2^(F/12)
で求められます。
 上記のように6弦から1弦の周波数比を求めると、
2^(5/12) * 2^(5/12) * 2^(5/12) * 2^(4/12) * 2^(5/12)
= 2^((5+5+5+4+5)/12)
= 2^(24/12)
= 4.0
となり、オクターブがきっちり合うことがわかります。
 平均律の完全4度は、
  2^(5/12)
= 1.33483985417
となり、純正律の完全4度の、
4/3 = 1.333333333…
よりわずかに広めです。

 同じ理由で、5フレット、7フレットのハーモニクスで合わせるチューニングも、合いません。
 チューニングはチューナーでやるのがとりあえずの正解です。
 が、チューナーでばかりチューニングしていると、和音がきれいに鳴っているかどうかを聴く能力がなくなります。
 練習の前には、耳だけでチューニングすることをおすすめします。

 気をつけなくてはならないのは、開放弦が合っただけで、よく使うフレットで合うように修正が必要なことです。
 大抵のギターはナットの深さが浅いままなので、5弦、6弦の3フレットくらいまでは高めに上ずります。
 Gフォームを多用する人は、6弦を3フレットのGで合わせ直しましょう。
 


by studio_do | 2024-03-26 12:44 | 音楽 | Comments(0)
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