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ミュージシャンのPA入門その9

 少し間が空きました。 
 今回は、PAの永遠のテーマである”ハウリング”です。

 ハウリングとは、スピーカーからの音がマイクに入り、またスピーカーから
出ることによって、発振してしまうことです。
 ハウリングの原因は、一般的には
マイクゲインの上げすぎと思われていますが、実際にはそのハウスの部屋と
PAシステムを含めた音響特性がフラットでなく、どこかの周波数にゲインが高いところ
があるせいです。
 部屋の周波数特性がフラットでない理由はいくつかありますが、一種の鳴き竜現象と考えるのが分かりやすいでしょう。
 ややこしく言うと定在波が立つってやつですかね。
 部屋というのはスピーカーから出た音が、いくつ経路で反射してお互いに干渉しあって減衰していくものですけど、部屋の形状や壁の材質などの関係で反射した音の位相が一致してしまって音が減衰しない状態が起こることがあります。
 その現象が可聴周波数範囲で起こるとハウリングするわけです。
 この現象では、いつも同じ周波数でハウリングするのが特徴。

 対策としてはミキサー卓やそのあとに繋がったグラフィックイコライザーで、その周波数のゲインを下げるのが一般的。
 慣れてくると音を聞いただけでその周波数が分かるようになります。
 慣れるまではA=880Hzを頼りに考えましょう。

 そうやってグライコで対策しても、その周波数だけ残響が長いことには変わりありません。
 グライコで対策する前に、スピーカーの向きを少し変えてみましょう。 
 音の反射経路が変わり、意外とハウリングしなくなることがあります。

 ハウリング対策が出来たかどうかは、マイクのフェーダーをハウリングする寸前まで上げていってどこまで上げられるかで判断します。
 実際に使いたいフェーダー位置と比べてそこからどこまでフェーダーが上げられるかをハウリングマージンと言います。
 フェーダーを上げたマイクの前で、手をお椀型にしてかざしてハウリングするようなら本番でもハウリングするかもしれません。

 ミキサー担当がフェーダーをいじっているときには、こんなことが頭の中に渦巻いているわけです。
by studio_do | 2006-06-03 01:57 | PA入門 | Comments(0)
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